世界で推定毎年20万人の労働者が職場での受動喫煙により命を落としている。受動喫煙に安全なレベルはない。全面禁煙の実施が受動喫煙の被害から人々を守る唯一の効果的な方法だ。(by WHO)

日本も加盟しているWHOの「タバコ規制枠組み条約」では、「2010年2月までにすべての公共の建物内の完全禁煙」をガイドライン(指針)としています。子ども、家族、自分、大切な人がタバコの被害を受けない社会作りが必要だと思います。

                
 動画CMコンテスト受賞作品(NPO法人日本禁煙学会)


   

☆ベランダ喫煙では室内の受動喫煙は防げない

【中日新聞、東京新聞共通】

01年8月
ホタル族の紫煙 お隣はイライラ 嫌なにおい 布団や部屋に 近所同士だけに面と向かっては言いにくくて…マンションに住む女性は、隣の「ホタル族」にイライラさせられている。
 マンションを購入して二年目。隣の人は、いつもベランダの右隅に灰皿を置き、たばこを吸う。右隣に住む田中さんにとっては、布団や洗濯物を干す場所と至近距離だ。窓を開けておくと、嫌いなにおいが部屋の中に入って来る。
 ベランダの左側は駐車場になっていて、“迷惑度”が小さいのに「どうして、こっち側で吸うのだろう」といつも気になる。
 しかし、面と向かって注意するのは「隣同士だし、気まずくなっては…」と気が引ける。我慢するうち、だんだん腹が立ってきて、隣人にもそっけない態度を取ってしまう。「同じ年ごろの子どももいるのに、これからどう付き合っていけばいいのだろうと不安な毎日です」と訴える。

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 室内での喫煙は壁や家具などが汚れる、子どもの健康にも良くないと、ベランダを喫煙場所に決めている家庭は珍しくない。しかし、その煙が隣のひんしゅくを買ってしまうケースも多いようだ。取材班に届いた手紙をみると-。

 「クーラーは体に良くないので、真夏の夜は、できるだけ窓を開けて過ごしたいのですが、隣家のご主人がベランダでたばこを吸われます。そのにおいが私どもの部屋にまで漂ってきて、気分が悪くなります。もちろん隣のご主人に悪気がないことは分かっていますが、たばこを吸わない家庭では不快に思っていることを知っていただきたいものです」(女性)

 「隣のご主人がホタル族です。何が迷惑かというと、たばこのにおいが洗濯物につくことです。特に、洗濯物が湿っているときに吸われると、においがつきやすいんです。なるべくご主人が出勤されている間に干すようにしているのですが、休日などはそうもいかないし、腹が立ってきます」(女性)

 「朝起きたとき、子どもたちと食事をしているときなどに、嫌なにおいが漂ってきて、子どもが“くさい”と叫び、慌てて窓を閉めます。でも、分譲マンションだし、お隣ともめ事を起こしたくないので、毎日我慢しています。たばこの煙には、不快感を通り越して嫌悪感を覚えます」(女性)

 
「両隣と下の部屋の人が、ホタル族。風向きによってはかなりにおいます。自分の家族のためにベランダで吸っているのだと思いますが、それが他人の迷惑になるとは少しも気づいていないようです」(女性)

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 投書に共通するのは「言いたいけれど、言えない」「気持ちを察してほしい」という悩みだ。
 勇気を出して言えば、やめてくれる人も多いのかもしれないが、お隣同士で角が立つことをしたくない。
 一方、喫煙者はたばこのにおいに鈍感で、隣人のいらだちになかなか気づかない。たばこの煙に敏感な人が増える中で“迷惑ホタル”は、現代のマンション問題の一つになりつつあるようだ。(迷惑たばこ取材班)



08年11月

ベランダ喫煙 効果なしの報告 室内での受動喫煙 防げず
 国立がんセンターが今月実施した市民向けがん情報講演会で「ベランダ喫煙も禁止」を求める報告があった。紫煙を嫌がる家族を思いやって“ホタル族”になっても、煙が室内に流入し、受動喫煙を防げないという研究結果が出たという。


 ベランダ喫煙の研究班は、厚労省も基準に使う粉じん濃度で、ベランダでの喫煙時、閉め切った室内の有害物質の浮遊状況を調べた。喫煙前、室内の濃度は一立方メートル当たり〇・〇一ミリグラムだったが、喫煙中は最大〇・一二ミリグラムと十倍以上に上昇した。
発表を担当した大和浩産業医科大教授は「サッシのすき間からたばこの煙が流れ込む」と説明した。


 さらに、吸い終えて室内に入った後の約四十呼吸(約二百秒)で煙粒子が吐き出され、ガス状の有害成分は口や衣服などから数時間漂うことも指摘。大和さんは、
ベランダ喫煙では室内の受動喫煙を防げないと結論づけ、「家族だけではなく、近隣住民にも受動喫煙を強いるベランダ喫煙は法的に禁止すべきだ」と報告した。

 マナーの問題とせず明確な禁止を求めるのは「健康増進法(二〇〇三年施行)の不備に学んでいる」(大和さん)からという。同法では各種施設で受動喫煙を防ぐよう求めているが、罰則規定はない。努力義務のため、対策に踏み切らない飲食店もある。禁煙にしていない店では、店内に子どもがいても喫煙する客もいるのが現状で、受動喫煙は防げていない。

 同法により、学校の敷地内禁煙などは進んだが、家庭は置き去りのままだ。この傾向は各国に共通し、国際対がん連合(UICC)は今年二月「たばこの煙から子どもたちを守るには」を出版。特に「家庭内の喫煙禁止の割合を高める取り組みが必要だ」と呼び掛けた。

 ベランダ喫煙の煙は、近隣の家庭の洗濯物にかかり、窓から入る場合もあるが、集合住宅ではトラブルを避けて泣き寝入りになりがちだ。「肩身の狭い愛煙家を、嫌煙家がさらに責めたてる」との声もまだまだ強いからだ。

 だが、受動喫煙の害は徐々に知られ、煙は「嫌う」ではなく、被害を避ける対象になっている。喫煙者が吸い込む煙に比べ、立ち上る煙はニコチン、タールなど有害物質を二・八-四十六倍も含む。日本も批准したたばこ規制枠組み条約は「タバコの煙にさらされることが死亡、疾病及び障害を引き起こすことが科学的証拠により明白に証明された」と明言した。


 たばこは嗜好(しこう)品との主張は根強い。しかし、仮に自らの体を害する自由はあっても、周りの人々の健康を害する自由まではない、とみるのが妥当だ。受動喫煙がやまない現状では、新たな規制もやむを得ないだろう。(生活部)



09年5月

有毒性への認識 足りず 公園や家庭で被害 求められる規制、警告の強化
 健康増進法の施行から六年が経過し、路上や駅など公共の場での喫煙規制が進んでいる。しかし、規制対象から外れた公園や喫煙所、規制の届かない家庭などで受動喫煙の被害は依然続いている。三十一日の世界禁煙デーを機に、現状を報告する。

 東京都北区の児童公園。滑り台などで遊ぶ子どもたちを囲む形で、園内三カ所に灰皿が置かれ、十人ほどが紫煙を上げる。八カ月の女児を連れた母親は「子どもに悪影響がありそうで嫌」と顔をしかめるが、喫煙する無職男性は「公園で吸うぐらい、いいじゃない」。会社員男性は「灰皿が置いてあるから。道路じゃ吸えないし…」と言い訳した。

 同区は昨年十二月、路上喫煙防止条例を施行したが、逆に、規制対象外になった公園などでの喫煙が目立つようになった。同じ趣旨の条例は千代田区や名古屋市など、全国約五十の自治体で制定されているが、公園での喫煙を規制しているのは、千葉市、豊島区など少数だ。罰則付きで先進的な受動喫煙防止条例を定めた神奈川県でも、公園での規制はない。公園などが喫煙者のたまり場となることを防ごうと、厚生労働省の受動喫煙防止検討会は三月、「公共的空間は原則全面禁煙に」と求める報告書を出した。

 実際、屋外喫煙でも、風下側にいる人は受動喫煙の被害を受けやすい。産業医科大の大和浩教授(健康開発科学)が実験で、通学路を歩く喫煙者の後方五メートル地点で汚染度を測ったところ、喫煙室基準と同程度から倍近くの数値が出たという。大和教授は「屋外でも受動喫煙の被害を受けるのは明らかで、通行者の多い公道、通学路、公園、遊園地は禁煙化が必要」と結論づけた。

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 また「法的規制の及ばない家庭で、受動喫煙にさらされている子どもたちがいることが大きな問題」と、国立がんセンター研究所の望月友美子医師は警鐘を鳴らす。「気遣っているつもりで、ベランダや換気扇の下で吸う保護者もいるが、子どもの受動喫煙を防げていない」と大和教授。

 中央内科クリニック(東京都中央区)の村松弘康呼吸器内科医師が今年二月診察した、ぜんそくの女児は両親が喫煙者だった。両親は、女児から離れた部屋や外で喫煙していたが、女児の発作は家族と一緒に過ごす週末に集中して起こっていた。村松医師は「外で吸った親が部屋に戻って吐く息で、発作を起こす子も多い」と両親を指導した。

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 「日本では、たばこの有毒性がしっかり周知されていないから、対策が不十分になっている」と苦言を呈するのは、たばこ問題情報センター(千代田区)の渡辺文学代表。「商業施設の入り口や主要駅近くなど、人通りが多く受動喫煙の起きやすい場所に平気で喫煙所を設けていることからも、有毒性に対する認識が甘いことが明らか」と指摘する。

 受動喫煙の煙には、ニコチン、シアン化物、ヒ素、カドミウムなど数百種類の有毒汚染物質が含まれている。公共の場の全面禁煙化が進む欧米各国やオーストラリア、タイなどでは、たばこパッケージの健康警告表示も、損なわれた肺の写真などを使ったインパクトが強いものだ。一方、日本の表示は、警告文のみにとどまる。日本も批准している「タバコの規制に関する世界保健機関枠組条約」では、写真入り警告を推奨しており、日本でも警告表示の強化が求められている。
 国内で受動喫煙に対する危機意識が浸透しない一因として、望月医師は「本当に深刻な害があるなら、行政から“それなりの規制”があるはずという意識がある」と分析。
「食品や家庭用品の場合と同じ考え方、つまり科学的根拠に基づいて、国が率先して屋内の全面禁煙など適切な規制を進めることが必要」と訴える。

  


2010年01月29日 Posted by tonton at 21:06Comments(0)●コラム・投稿・社説