世界で推定毎年20万人の労働者が職場での受動喫煙により命を落としている。受動喫煙に安全なレベルはない。全面禁煙の実施が受動喫煙の被害から人々を守る唯一の効果的な方法だ。(by WHO)

日本も加盟しているWHOの「タバコ規制枠組み条約」では、「2010年2月までにすべての公共の建物内の完全禁煙」をガイドライン(指針)としています。子ども、家族、自分、大切な人がタバコの被害を受けない社会作りが必要だと思います。

                
 動画CMコンテスト受賞作品(NPO法人日本禁煙学会)


   

インドネシア:たばこ天国 喫煙、進む低年齢化

インドネシア:たばこ天国 喫煙、進む低年齢化
【毎日新聞社】
http://mainichi.jp/select/world/news/20100531ddm012030079000c.html
 たばこ、たばこ、である。街頭の広告にも、露天にもさまざまな種類が並び、至る所で紫煙をくゆらせる子供たち--。安価で規制のほとんどない「たばこ天国インドネシアで、未成年の喫煙者増加が深刻な問題となっている。規制強化を求める声は強いのに、政府が積極的な対策に乗り出さないからだ。内情を探った。【ジャカルタ佐藤賢二郎】

 首都ジャカルタで先月、たばこ広告を巡りちょっとした騒ぎがあった。
 米国の人気女性歌手ケリー・クラークソンさん(28)の公演を、インドネシア第3位の大手たばこ会社「ジャルム社」が後援し、自社のたばことケリーさんの写真をデザインした巨大な看板を至る所に掲げたのが発端だった。
 ケリーさんは06年に米国の音楽賞「グラミー賞」で2冠を達成し、インドネシアでも若者に人気だ。国内の非政府組織(NGO)やイスラム教団体から「若者の喫煙を促すものだ」と抗議が相次いだ。米国の禁煙支援団体も「子供がたばこを買う手助けになる」と、ケリーさんにジャルム社の後援を断るよう要請した。
 ケリーさんは自身のホームページで「たばこ会社が後援しているとは知らなかった。若者にたばこを勧めるつもりはない」と釈明。結局、ジャルム社は後援を降り、公演前に看板を一斉撤去して騒ぎは落着した。
 この国は人口2億人超で、その約3割、6500万人が喫煙者。だが、地元NGO「国家児童保護委員会」のセト・ムルヤデイ会長は「成人の喫煙者数が頭打ちになる中、たばこ会社は未成年を新たな標的にしている」と指摘する。
 このNGOの調査(07年)によると、たばこ会社後援のイベントは全国で月平均135件。無料でたばこを配ることもあるという。
 世界保健機関(WHO)の08年報告によると、インドネシアの未成年者の喫煙率は約14%(男24%、女4%)。13歳から15歳の少年の4人に1人が喫煙者だとの統計もある。
 より深刻なのは、喫煙開始年齢の若年化だ。同国中央統計局によると、5~9歳でたばこを吸い始める割合は01年の0・4%から04年には2・8%と7倍に急増。喫煙開始の平均年齢も18歳から7歳に大幅に下がり、健康被害や発育障害が懸念されている。
 ◇国の財源、たばこ依存 政府は経済優先の政策 ケリーさんの公演のスポンサーになったジャルム社の社主、ブディ・ハルトノ氏は大手銀行や巨大複合施設の株式を大量に所有する大富豪。
総資産35億ドル(約3300億円)で、今年の米誌フォーブスの長者番付でインドネシア1位となった。
 国内第一、第二の大手たばこ会社の社主も長者番付の常連。インドネシア大学がまとめた「インドネシアのたばこ経済」(08年)は「たばこ産業は上位3社が市場の71%を占め、政治家に影響力がある」と指摘した。
 インドネシアには、年齢でたばこの購入や喫煙を禁止する法律はなく、街頭の広告などにも制限がない。世界160カ国以上が加盟するWHOの「たばこ規制枠組み条約」に東南アジアで唯一加盟していない。
 だが、この国は人口の9割をイスラム教徒が占め、イスラム教団体の影響力も無視できない。国内で2番目に大きな団体「ムハマディア」は今年3月、「喫煙習慣はイスラム教が禁じる自殺だ」と会員約3000万人に禁煙を求めるファトワ(宗教令)を発布した。規制強化への声は強い。そうした中、たばこ規制の法案作成に携わる国会議員は「インドネシア経済はたばこ産業に大きく依存している。法律施行前に経済への悪影響を計算すべきだ」と述べ、経済優先の姿勢を示す。

 ●規制緩和活動も
 たばこ問題に詳しい研究者は「たばこ会社は多くの政党の大会に資金供与するなど、規制を緩めるためのロビー活動を続けている」と指摘する。昨年は「たばこは中毒性物質」と明記した条文を含む保健法制定を巡り、業界から国会議員への現金供与疑惑が浮上するなど業界と政治家の「不適切な関係」も話題になった。
 たばこ税は政府歳入の約1割、昨年は約53兆ルピア(5200億円)に上る主要財源だ。タバコの葉や香料の一種クローブの生産農家は全国に350万人。たばこ関連の工場労働者や行商人を加えると計610万人に達する。規制に対しては、産業界だけでなく労働者からも強い抵抗があり、規制への足かせとなっている。
 一方、たばこに関する「迷信」が規制の障害になっているとの指摘もある。
 インドネシア大のタブラニ教授(公衆衛生)によると、国内消費分のたばこの約9割は香料のクローブや果物の香りが配合された「クレテックたばこ」。吸うと甘い香りが広がるため、のどの痛みに効くなどの効能を信じる人も多い。
 喫煙者の多い農村部で影響力を持つ宗教指導者の多くは喫煙を容認している。
 タブラニ教授は「政府は経済優先政策を見直し、保健医療により多くの予算を割り当て、喫煙者に『たばこ』のリスクを伝えるべきだ」と警告している。




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2010年06月12日 Posted bytonton at 20:38 │Comments(0)インドネシア

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