世界で推定毎年20万人の労働者が職場での受動喫煙により命を落としている。受動喫煙に安全なレベルはない。全面禁煙の実施が受動喫煙の被害から人々を守る唯一の効果的な方法だ。(by WHO)

日本も加盟しているWHOの「タバコ規制枠組み条約」では、「2010年2月までにすべての公共の建物内の完全禁煙」をガイドライン(指針)としています。子ども、家族、自分、大切な人がタバコの被害を受けない社会作りが必要だと思います。

                
 動画CMコンテスト受賞作品(NPO法人日本禁煙学会)


   

禁煙後進国ニッポン

【from Editor】禁煙後進国ニッポン
 先月訪れた台湾でのこと。小さいが味は文句なしと評判の北京料理店に行った。通りからガラス越しに見える調理室で、主人が鶏をさばいていた。その手際がなんとも見事で、これなら味も間違いなかろうと期待して店内に入った。
 ところが、その主人がちょくちょく姿を消す。どこへ行くのかと注意していると、店外に出て一服しているのである。聞けば、台湾では今年1月から、法令で3人以上が集まる場所での喫煙が禁止されたのだという。
 この禁令が徹底していて、タクシーはすべて禁煙車、ホテルは自室でさえ喫煙はNG。日本ではせいぜい、禁煙ルームが用意されている程度だから、嫌煙派の私には国内にいる以上に快適な滞在になった。
 帰国して、「日本の現状は」と思いつくまま調べてみた。例えば公共交通機関。JR西日本では7月から関西の主要204駅が全面禁煙になったが、関西の大手私鉄5社はまだ分煙レベル。朝夕のラッシュ時のみ全面禁煙という駅が多い。東京では当たり前の禁煙タクシーに乗ろうと思えば、何台もやり過ごさなければならない。
 全国に約3万6000ある公立小中学校で、敷地内を全面禁煙にしているのは66%。100%実施という都道府県は秋田、茨城、静岡、
福井、滋賀、和歌山の6県にすぎない。都心部では東京63%、千葉49%、大阪、京都各61%、福岡33%など軒並み全国平均を下回っている。かろうじて上回っているのは愛知68%、神奈川75%など。公共の場所の管理者に、受動喫煙の防止措置を求める健康増進法が施行されて6年5カ月もたつのにこの状況では、子供たちがかわいそうというものだ。
 米がん学会の試算によると、来年1年間に世界で、喫煙が原因で死亡する人は約600万人。年間死者数の1割に当たり、受動喫煙の犠牲者も20万人を下らないという。そのための医療費などの経済損失は約5000億ドル(約45兆円)。こんな数字を見れば、まともな為政者なら躍起になって、喫煙を国内から追放しようとするだろう。台湾のように。
 禁煙外来に取り組む東京農工大の阿部真弓准教授からこんな話を聞いたことがある。「大病で手術が必要になっても、執刀医が喫煙者だとわかったら医者を代わった方がいい」。その意味するところは料理店の主人の仕事ぶりでおわかりだろう。禁断症状を伴う喫煙は中毒、病気なのである。(大阪編集長 安本寿久)



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2009年10月23日 Posted bytonton at 13:57 │Comments(0)●コラム・投稿・社説

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