世界で推定毎年20万人の労働者が職場での受動喫煙により命を落としている。受動喫煙に安全なレベルはない。全面禁煙の実施が受動喫煙の被害から人々を守る唯一の効果的な方法だ。(by WHO)

日本も加盟しているWHOの「タバコ規制枠組み条約」では、「2010年2月までにすべての公共の建物内の完全禁煙」をガイドライン(指針)としています。子ども、家族、自分、大切な人がタバコの被害を受けない社会作りが必要だと思います。

                
 動画CMコンテスト受賞作品(NPO法人日本禁煙学会)


   

◎【社説】受動喫煙/職場の防止に対策強化を

受動喫煙/職場の防止に対策強化を
【世界日報】
http://www.worldtimes.co.jp/syasetu/sh101024.htm
 他人のたばこの煙を吸い込んでしまう受動喫煙が原因の肺がんや心筋梗塞による年間死亡者は約6800人に上るという。厚生労働省の研究班による推計だが、驚くべき数字である。

健康被害大きい「副流煙」
 火の付いたたばこの先から出る「副流煙」は、喫煙者が吸う「主流煙」よりもニコチンなどの有害物質が多く含まれ、健康被害が大きい。研究班の推計は、受動喫煙の有害性が予想を超えて深刻であることを明らかにする一方、わが国の対策の遅れに対する警鐘とも言える。
 政府は早急に法改正を行って、不特定多数の人が出入りする施設の完全禁煙か、または完全分煙を義務化すべきだろう。喫煙者は、人前で紫煙をくゆらす行為が自分だけでなく他人の健康に悪影響を及ぼしていることを自覚してほしい。
 特に法的な対応が必要なのは職場における対策だ。研究班の推計のうち、職場の受動喫煙が原因とみられるのは約3600人で、半数以上を占めた。しかも、受動喫煙との因果関係が明確な肺がんと心筋梗塞に限った数値で、他の疾病を含めた犠牲者はさらに多い。
 最近、発病者が増えていることで、政府に対策強化を求める政治家が増えている子宮頸がんでも年間の死者は3500人である。受動喫煙による疾病に対する関心の薄さを、政府は改めるべきだ。
 わが国では官公庁の対策が進む一方、職場での対応が遅れ、喫煙か分煙の対策を取っている事業所は5割にも満たない。受動喫煙の有害性やたばこを吸わない従業員の苦痛に対する理解の浅さとともに、経済的な負担の重さも一因だろう。
 喫煙者も抱える事業主が、職場を全面禁煙にするのは難しい。現実的には完全分煙にすることだが、それには喫煙専用室を設けて換気設備を取り付けるなど、かなりの費用が必要だ。経済的に余裕のない中小企業には、政府の支援を考えてもいいのではないか。長期的には医療費の削減が見込めるのだから、国の財政も利するはずだ。
 受動喫煙を強いられる従業員の存在を軽視してはならない。多数の生命が奪われていることを、政府も企業も深刻に受け止めるべきだろう。
 今年夏の調査では、日本人の喫煙率は23・9%で、15年連続で減少を続けている(日本たばこ産業調べ)。健康志向の高まりや喫煙の有害性が周知されるようになったことが喫煙者を減らしている。今年10月1日、増税によるたばこの値上げがあったが、それを見越して禁煙した人も少なくなかったようだ。
 だが、男性の喫煙率36・6%はまだ高い。社会の禁煙化が進む先進国では20%前後が多いのだ。受動喫煙対策の根本は、禁煙環境の整備など、脱喫煙社会を推進することだ。

禁煙希望者の手助けを
 あるたばこ会社の調査によると、たばこの値上げによって、喫煙者の6割近くが禁煙の意思を示したというが、実際に禁煙できる人はそう多くはない。官公庁、職場、飲食店など、社会の中で自由に喫煙できる場所を少なくすることは、禁煙希望者を手助けすることにもなる。


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2010年10月29日 Posted bytonton at 19:34 │Comments(0)●コラム・投稿・社説

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