日本も加盟しているWHOの「タバコ規制枠組み条約」では、「2010年2月までにすべての公共の建物内の完全禁煙」をガイドライン(指針)としています。子ども、家族、自分、大切な人がタバコの被害を受けない社会作りが必要だと思います。
動画CMコンテスト受賞作品(NPO法人日本禁煙学会)
特集ワイド:「受動喫煙防止条例」施行迫る神奈川
特集ワイド:「受動喫煙防止条例」施行迫る神奈川 ルポ「禁煙都市」
【毎日新聞社】
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20100315dde012040007000c.html
「禁煙包囲網」が広がっている。神奈川県では4月から受動喫煙防止条例が施行され、官公庁や病院、映画館など公共性が高い施設は禁煙。飲食店などでも原則、禁煙・喫煙の区域を分ける仕切りや排気設備などを設けなければ、吸えなくなる。ああ、スモーカーはどこにゆく……。吸う記者、吸わない記者それぞれが「禁煙都市」を見た。
◆嫌煙派の立場から
◇「追いやるだけ」では不足
神奈川県の条例は、病院や映画館など公共性が高い施設は禁煙とし、飲食店やカラオケボックスなどは禁煙か分煙を選択するよう求めている。分煙の場合も、禁煙・喫煙の区域を分ける仕切りや排気設備などを設けなければならない。従わない施設の管理者には原則2万円、禁止区域でたばこを吸った人には原則2000円の過料も科す。
先手を打って3月1日から、神奈川県内全298店を全面禁煙にしたマクドナルド関内北口店に行ってみた。
子どもを連れて出てきた主婦(34)は「大賛成。なるべく煙が来ない席に座るようにはしてますが、流れてくることもある。子どもが行く場所は完全禁煙にしてほしい」。
コーヒーを買って2階に上がる。窓に面した方にガラスで仕切られたスペースが。ここが喫煙席だったのだろう。非喫煙者として気になるのは、奥のソファ席や、窓に面した席が喫煙スペースになっている店が多いことだ。なぜ居心地の良さそうな席が喫煙者のものなのか、納得いかないのである。
■
「元喫煙スペース」でおしゃべりに興じていた主婦にも聞いてみた。
鶴見区に住む55歳の女性は「吸う人には気の毒な気もする。受動喫煙防止というなら、県内でたばこを売らないというぐらい徹底すべきだ」。夫は喫煙者だという港南区の女性(58)も「吸う場所がどんどんなくなっちゃって大変そう。吸う人を追いやってしまうのもどうかなあ」。
男性にも聞いた。保土ケ谷区の会社員(54)は5年前にたばこをやめたという。「分煙するのも、小さい店では大変。食事を楽しむレストランは全面禁煙か、きちんと囲った喫煙スペースを設け、喫茶店や居酒屋はフロアを区切った分煙でもいいのでは」
神奈川県内の「ロイヤルホスト」25店舗も店内全面禁煙に踏み切った。ただし、鎌倉山店など12店舗は改装して喫煙ルームを設けた。広報担当者によると、家族連れのほか、喫煙者からも「今まで周りに遠慮して吸っていたが、気にしなくてよくなった」と好評だという。
■
「禁煙にすればするほど煙たくなるニッポン」(扶桑社新書)の著書がある人材コンサルタントの山本直治さんは「世の中からたばこをなくすのは難しいという前提の中、無理やり喫煙者をどこかに押し込めようとして、かえって望まない人の前にたばこが現れている」という。
「社内を全面禁煙にしたから社外の喫茶店や飲食店で吸えというのは、ごみ箱を撤去したからごみは外で捨ててというのと同じだ。駅などの公共施設もそうだ。たばこを吸う人の利用がある以上は、喫煙場所は作っておかないと、責任を他に押しつけていると言われても仕方ない」。山本さん自身は非喫煙者だが「吸う人吸わない人が尊重し合って、共存していく方法を考えるべきだ」と話す。
おっしゃる通り。非喫煙者だって鬼ではない。煙がこちらに来なけばいいのだ。知人の煙も嫌だが、見知らぬ人の煙はもっと嫌。きちんと喫煙スペースを作ってもらった方が、お互い幸せというものである。【小松やしほ】
◆喫煙派の立場から
◇まるで排除心理の「標的」
社内の喫煙所には1日に数回、足を運ぶ。原稿が一段落したり行き詰まったりした時に、自然と足が向く。店内は完全禁煙のコーヒーチェーン店「スターバックス」はテークアウト以外、利用したことはない。全面禁煙のマクドナルド関内北口店、仕事ならばと出かけてみた。
横浜スタジアムや山下公園に近い横浜市中区のJR関内駅。7、8人がたばこを吸う路上の喫煙所を過ぎると、「ここは禁煙です」と黄色い看板。路上には「喫煙禁止地区」のマークがある。なんだか肩身が狭く、歩くだけで圧迫感がある。
取材に訪れた11日は、神奈川県の松沢成文知事が視察に来た。知事は「全国チェーンが一緒に取り組んでいただいて大きな力になっている」と話し、カプチーノをすすっていた。知事はかつて喫煙派だったが、選挙演説で声が通らなくなるのがいやでやめたそうだ。
ひと通り、観察して店を出たがコーヒーは飲まずじまい。近くの喫煙OKの店で一服してくつろいだ。
たばこは吸わないが、喫煙を制限する動きに反対する、ジャーナリストの斎藤貴男さんに会った。
■
斎藤さんは「大前提として、個人の肉体の使い方を行政が規制することがおかしい」と話した。東京都千代田区が02年に指定地区での路上喫煙などを禁止にした時、斎藤さんは取材のためJR神田駅近辺でたばこに火をつけた。パトロール中の5、6人に取り囲まれた。新しいたばこに火をともすと、「こいつはわざとやっている。罰金5万円だ」と言われた。乱暴な立ち振る舞いに「普通の人が権力のきれっぱしを与えられると横柄になる」と憤慨していた。
受動喫煙防止の流れは、かつて成人病だった病気が生活習慣病と呼ばれ始めた時と軌を一にするという。「成人病はある年齢になったらなるかもしれない病気。生活習慣病は自己責任で別物です。節制しない人だけが糖尿病にかかるわけではない」
時代は、生産性の高い人間が偉い「勝ち組」、そうでない人は「負け組」という新自由主義の流れの中にある。閉塞(へいそく)感に追い込まれた弱い立場の人が、さらに弱い立場の者を排除する心理が働いていると指摘した。「たばこを吸うから負け組だと標的にする。自分たちは大丈夫だと思いたいのでしょう」と斎藤さんは話した。
■
ところで、全面禁煙の流れは止まらないのだろうか。今度は神奈川県厚木市に向かった。ホルモン焼きが名物というので焼き肉店に入った。
炭火の煙でむっとする。県の条例は、調理場を除いた面積100平方メートル以下の小規模飲食店は対象外。ゆったりとした店内は子ども連れやサラリーマンでほぼ満席だ。豚の大腸を輪切りにしたシロコロをおいしそうに食べている。しかし、店内には禁煙マークは見当たらない。4月から分煙か禁煙ですかと尋ねると、若い男性店員が笑顔で答えてくれた。「はっきり分かりませんが、うちは炭火の煙も出ていますし、禁煙や分煙にはならないと思いますよ」
少しほっとした。まあ、今後も吸える場所で吸うだけさ。【中山裕司】
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t.yukan@mainichi.co.jp
ファクス03・3212・0279
「炭火」の煙と「タバコ」の煙はまったく違うものだと思います。炭火には「ニコチン」は入っていないですし、発がん性物質はどうなんでしょうか。もちろん、「お線香」なども同じ煙だからと言って同じように考えてはいけないと思いますが。
【毎日新聞社】
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「禁煙包囲網」が広がっている。神奈川県では4月から受動喫煙防止条例が施行され、官公庁や病院、映画館など公共性が高い施設は禁煙。飲食店などでも原則、禁煙・喫煙の区域を分ける仕切りや排気設備などを設けなければ、吸えなくなる。ああ、スモーカーはどこにゆく……。吸う記者、吸わない記者それぞれが「禁煙都市」を見た。
◆嫌煙派の立場から
◇「追いやるだけ」では不足
神奈川県の条例は、病院や映画館など公共性が高い施設は禁煙とし、飲食店やカラオケボックスなどは禁煙か分煙を選択するよう求めている。分煙の場合も、禁煙・喫煙の区域を分ける仕切りや排気設備などを設けなければならない。従わない施設の管理者には原則2万円、禁止区域でたばこを吸った人には原則2000円の過料も科す。
先手を打って3月1日から、神奈川県内全298店を全面禁煙にしたマクドナルド関内北口店に行ってみた。
子どもを連れて出てきた主婦(34)は「大賛成。なるべく煙が来ない席に座るようにはしてますが、流れてくることもある。子どもが行く場所は完全禁煙にしてほしい」。
コーヒーを買って2階に上がる。窓に面した方にガラスで仕切られたスペースが。ここが喫煙席だったのだろう。非喫煙者として気になるのは、奥のソファ席や、窓に面した席が喫煙スペースになっている店が多いことだ。なぜ居心地の良さそうな席が喫煙者のものなのか、納得いかないのである。
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「元喫煙スペース」でおしゃべりに興じていた主婦にも聞いてみた。
鶴見区に住む55歳の女性は「吸う人には気の毒な気もする。受動喫煙防止というなら、県内でたばこを売らないというぐらい徹底すべきだ」。夫は喫煙者だという港南区の女性(58)も「吸う場所がどんどんなくなっちゃって大変そう。吸う人を追いやってしまうのもどうかなあ」。
男性にも聞いた。保土ケ谷区の会社員(54)は5年前にたばこをやめたという。「分煙するのも、小さい店では大変。食事を楽しむレストランは全面禁煙か、きちんと囲った喫煙スペースを設け、喫茶店や居酒屋はフロアを区切った分煙でもいいのでは」
神奈川県内の「ロイヤルホスト」25店舗も店内全面禁煙に踏み切った。ただし、鎌倉山店など12店舗は改装して喫煙ルームを設けた。広報担当者によると、家族連れのほか、喫煙者からも「今まで周りに遠慮して吸っていたが、気にしなくてよくなった」と好評だという。
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「禁煙にすればするほど煙たくなるニッポン」(扶桑社新書)の著書がある人材コンサルタントの山本直治さんは「世の中からたばこをなくすのは難しいという前提の中、無理やり喫煙者をどこかに押し込めようとして、かえって望まない人の前にたばこが現れている」という。
「社内を全面禁煙にしたから社外の喫茶店や飲食店で吸えというのは、ごみ箱を撤去したからごみは外で捨ててというのと同じだ。駅などの公共施設もそうだ。たばこを吸う人の利用がある以上は、喫煙場所は作っておかないと、責任を他に押しつけていると言われても仕方ない」。山本さん自身は非喫煙者だが「吸う人吸わない人が尊重し合って、共存していく方法を考えるべきだ」と話す。
おっしゃる通り。非喫煙者だって鬼ではない。煙がこちらに来なけばいいのだ。知人の煙も嫌だが、見知らぬ人の煙はもっと嫌。きちんと喫煙スペースを作ってもらった方が、お互い幸せというものである。【小松やしほ】
◆喫煙派の立場から
◇まるで排除心理の「標的」
社内の喫煙所には1日に数回、足を運ぶ。原稿が一段落したり行き詰まったりした時に、自然と足が向く。店内は完全禁煙のコーヒーチェーン店「スターバックス」はテークアウト以外、利用したことはない。全面禁煙のマクドナルド関内北口店、仕事ならばと出かけてみた。
横浜スタジアムや山下公園に近い横浜市中区のJR関内駅。7、8人がたばこを吸う路上の喫煙所を過ぎると、「ここは禁煙です」と黄色い看板。路上には「喫煙禁止地区」のマークがある。なんだか肩身が狭く、歩くだけで圧迫感がある。
取材に訪れた11日は、神奈川県の松沢成文知事が視察に来た。知事は「全国チェーンが一緒に取り組んでいただいて大きな力になっている」と話し、カプチーノをすすっていた。知事はかつて喫煙派だったが、選挙演説で声が通らなくなるのがいやでやめたそうだ。
ひと通り、観察して店を出たがコーヒーは飲まずじまい。近くの喫煙OKの店で一服してくつろいだ。
たばこは吸わないが、喫煙を制限する動きに反対する、ジャーナリストの斎藤貴男さんに会った。
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斎藤さんは「大前提として、個人の肉体の使い方を行政が規制することがおかしい」と話した。東京都千代田区が02年に指定地区での路上喫煙などを禁止にした時、斎藤さんは取材のためJR神田駅近辺でたばこに火をつけた。パトロール中の5、6人に取り囲まれた。新しいたばこに火をともすと、「こいつはわざとやっている。罰金5万円だ」と言われた。乱暴な立ち振る舞いに「普通の人が権力のきれっぱしを与えられると横柄になる」と憤慨していた。
受動喫煙防止の流れは、かつて成人病だった病気が生活習慣病と呼ばれ始めた時と軌を一にするという。「成人病はある年齢になったらなるかもしれない病気。生活習慣病は自己責任で別物です。節制しない人だけが糖尿病にかかるわけではない」
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2010年03月16日 Posted bytonton at 21:39 │Comments(0) │●都道府県・市町村
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