日本も加盟しているWHOの「タバコ規制枠組み条約」では、「2010年2月までにすべての公共の建物内の完全禁煙」をガイドライン(指針)としています。子ども、家族、自分、大切な人がタバコの被害を受けない社会作りが必要だと思います。
動画CMコンテスト受賞作品(NPO法人日本禁煙学会)
完全禁煙の店まだ少数派、先進国では常識なのに…
完全禁煙の店まだ少数派、先進国では常識なのに…
喫煙率が3割を下回り、もはや国民の7割超がたばこを吸わない時代。紫煙もうもうなんて飲食店も少なくなった感じだが、「おいしい空気の中で料理を楽しみたい」という非喫煙者の切実な願いが達成されたというわけではないようだ。日本禁煙推進医師歯科医師連盟会員で、受動喫煙対策の研究者でもある産業医大(北九州市)教授の大和浩さん(48)とともに禁煙の店を訪ねてみた。
医大近くの「洋食屋Ange(アンジュ)」は大和さん行きつけの店。以前は店内で喫煙できた。完全禁煙に踏み切ったのは受動喫煙の防止を盛り込んだ健康増進法の施行(2003年5月)後まもなくしてのことだった。
22席。テーブルにはもちろん灰皿はない。店内には禁煙マークや、北九州市作成の啓発チラシが張られ、外の看板にも禁煙マークが目立っている。「外からでも一目で分かるようにしたら」。大和さんの助言がきっかけという。
実は、オーナーシェフの宮崎展彰さん(45)自身は1日1箱の愛煙家だが、店内は全面禁煙で、吸いたい時には外へ出るそうだ。「お客さんの健康に役立ち、室内も汚れない」。しかも売り上げはほとんど変わらなかった。妻裕子さん(45)は「女性など客層が広がり、お客さんのマナーも向上した」と喜んでいる。
「でも、完全禁煙の店はまだ全国的にも少数派ですよ」。大和さんはコーヒーを口に運びながら言った。
次に訪ねた「アートカフェレストラン」は、Angeから車で3分ほど。この店の完全禁煙の“仕掛け人”は大和さんだった。
かつては約60席のうち8席を喫煙席としていた。大和さんは同僚や学生と一緒に訪れる際は、あえて喫煙席に座ったりしていたそうだ。「喫煙席と禁煙席は間仕切りをしても、煙を完全に遮断するのは難しい。中途半端ですよ」。常連のそんな指摘に、店長の白石亜紀子さん(28)は決断をした。 「従業員やお客さんの健康を守ろう」。たばこを吸わない白石さん自身もせき込みそうになるのを無理に我慢してきたという。「喫煙のお客さんが減るのではないか」とも考えたが、04年4月、灰皿を置くのは店外のテラス席だけにし、店内からは紫煙を追放した。 「フランスやイギリス、イタリアなど、受動喫煙対策を罰則付きで義務づけている国は多いが、日本は努力義務にとどまっている。飲食店が全面禁煙なのは、日本以外の先進国では常識なんですがね」。大和さんは力を込める。
店では、灰の掃除などの手間が省け、接客のスピードが上がったそうだ。窓やエアコンにヤニがこびりつかなくなり、清潔に保てるよう
になったともいう。 「たばこが吸えるからではなく、飲み物や料理がおいしいからという理由で来ていただければ」と白石さん。心配していた売り上げも家族連れなどが増えたことで、伸び気味だそうだ。
チェーン店に動き広がる 禁煙の流れは、チェーン店にも広がっている。
パスタレストランなどを展開するピエトロ(福岡市)の場合は、全81店のうち、本店の「セントラーレ」など15店を完全禁煙にしている。分煙などの店についても「世の中の動向を見ながら、全面禁煙を徐々に広げたい」(レストラン事業部)という。
スターバックスコーヒージャパン(東京)では、全店で屋内が完全禁煙。屋外のテラス席で喫煙できるが、都内の一部では禁煙のテラス席もあるそうだ。
自治体が「お墨付き」/ネット登録も 禁煙の飲食店を利用者が選べるようにと、自治体が「お墨付き」を与える独自の登録制度をつくったり、インターネット上で利用者らが情報を書き込んでいくグルメサイトが開設されたりしている。
福岡市は05年4月、「禁煙協力店・施設」登録事業を始めた。「敷地内」「建物内」「室内」「時間帯」の禁煙の形態ごとにステッカーを交付している。登録店は昨年11月末現在で70店。市のホームページなどで公表している。
鹿児島市は08年9月に「たばこの煙のないお店」登録制度をスタート。「終日禁煙」か「終日完全分煙」にしている飲食店に、登録証
とステッカーを渡す。これまでに15店が認定され、やはり、市のホームページなどで紹介している。
グルメサイト「禁煙スタイル」には、全国の禁煙・分煙約1万2000店が登録されている。兵庫県西宮市の岩崎拓哉さん(28)が05年5月に開設し個人で管理している。分類は「完全禁煙」「完全分煙」「時間帯禁煙」の3種類。利用者も、飲食店側も登録できる。
◆福岡市「禁煙協力店・施設」登録事業(市保健予防課 092・711・4269)
◆鹿児島市「たばこの煙のないお店」登録 制度(市健康づくり推進課 099・216・1492)
◆グルメサイト「禁煙スタイル」(http://www.kinen-style.com/)
受動喫煙対策
健康増進法25条は、飲食店など多数が利用する施設の管理者に対し、受動喫煙の防止措置をとるよう定めている。ただし、「必要な措置を講ずるように努めなければならない」という「努力義務」で、「店ごとの自主性に任せるだけでは限界がある」と指摘する専門家も
いる。一方、神奈川県の松沢成文知事は08年4月、「受動喫煙防止条例(仮称)」を独自に制定する方針を発表。今年2月、自治体では
全国初の条例案が県議会に提出される見通し。
【写真】全面禁煙に取り組む「洋食屋Ange」。店内には禁煙を知らせるマークやポスターが掲げられている(北九州市八幡西区で)=
足立浩史撮影【写真】かつては喫煙席もあった店内で話す大和さん(北九州市若松区の「アートカフェレストラン」で)【写真】「福岡市禁煙協力店・施設」のマーク(福岡市・天神の「博多家庭料理 味の正福」で)
(2009年1月26日 読売新聞)
喫煙率が3割を下回り、もはや国民の7割超がたばこを吸わない時代。紫煙もうもうなんて飲食店も少なくなった感じだが、「おいしい空気の中で料理を楽しみたい」という非喫煙者の切実な願いが達成されたというわけではないようだ。日本禁煙推進医師歯科医師連盟会員で、受動喫煙対策の研究者でもある産業医大(北九州市)教授の大和浩さん(48)とともに禁煙の店を訪ねてみた。
医大近くの「洋食屋Ange(アンジュ)」は大和さん行きつけの店。以前は店内で喫煙できた。完全禁煙に踏み切ったのは受動喫煙の防止を盛り込んだ健康増進法の施行(2003年5月)後まもなくしてのことだった。
22席。テーブルにはもちろん灰皿はない。店内には禁煙マークや、北九州市作成の啓発チラシが張られ、外の看板にも禁煙マークが目立っている。「外からでも一目で分かるようにしたら」。大和さんの助言がきっかけという。
実は、オーナーシェフの宮崎展彰さん(45)自身は1日1箱の愛煙家だが、店内は全面禁煙で、吸いたい時には外へ出るそうだ。「お客さんの健康に役立ち、室内も汚れない」。しかも売り上げはほとんど変わらなかった。妻裕子さん(45)は「女性など客層が広がり、お客さんのマナーも向上した」と喜んでいる。
「でも、完全禁煙の店はまだ全国的にも少数派ですよ」。大和さんはコーヒーを口に運びながら言った。
次に訪ねた「アートカフェレストラン」は、Angeから車で3分ほど。この店の完全禁煙の“仕掛け人”は大和さんだった。
かつては約60席のうち8席を喫煙席としていた。大和さんは同僚や学生と一緒に訪れる際は、あえて喫煙席に座ったりしていたそうだ。「喫煙席と禁煙席は間仕切りをしても、煙を完全に遮断するのは難しい。中途半端ですよ」。常連のそんな指摘に、店長の白石亜紀子さん(28)は決断をした。 「従業員やお客さんの健康を守ろう」。たばこを吸わない白石さん自身もせき込みそうになるのを無理に我慢してきたという。「喫煙のお客さんが減るのではないか」とも考えたが、04年4月、灰皿を置くのは店外のテラス席だけにし、店内からは紫煙を追放した。 「フランスやイギリス、イタリアなど、受動喫煙対策を罰則付きで義務づけている国は多いが、日本は努力義務にとどまっている。飲食店が全面禁煙なのは、日本以外の先進国では常識なんですがね」。大和さんは力を込める。
店では、灰の掃除などの手間が省け、接客のスピードが上がったそうだ。窓やエアコンにヤニがこびりつかなくなり、清潔に保てるよう
になったともいう。 「たばこが吸えるからではなく、飲み物や料理がおいしいからという理由で来ていただければ」と白石さん。心配していた売り上げも家族連れなどが増えたことで、伸び気味だそうだ。
チェーン店に動き広がる 禁煙の流れは、チェーン店にも広がっている。
パスタレストランなどを展開するピエトロ(福岡市)の場合は、全81店のうち、本店の「セントラーレ」など15店を完全禁煙にしている。分煙などの店についても「世の中の動向を見ながら、全面禁煙を徐々に広げたい」(レストラン事業部)という。
スターバックスコーヒージャパン(東京)では、全店で屋内が完全禁煙。屋外のテラス席で喫煙できるが、都内の一部では禁煙のテラス席もあるそうだ。
自治体が「お墨付き」/ネット登録も 禁煙の飲食店を利用者が選べるようにと、自治体が「お墨付き」を与える独自の登録制度をつくったり、インターネット上で利用者らが情報を書き込んでいくグルメサイトが開設されたりしている。
福岡市は05年4月、「禁煙協力店・施設」登録事業を始めた。「敷地内」「建物内」「室内」「時間帯」の禁煙の形態ごとにステッカーを交付している。登録店は昨年11月末現在で70店。市のホームページなどで公表している。
鹿児島市は08年9月に「たばこの煙のないお店」登録制度をスタート。「終日禁煙」か「終日完全分煙」にしている飲食店に、登録証
とステッカーを渡す。これまでに15店が認定され、やはり、市のホームページなどで紹介している。
グルメサイト「禁煙スタイル」には、全国の禁煙・分煙約1万2000店が登録されている。兵庫県西宮市の岩崎拓哉さん(28)が05年5月に開設し個人で管理している。分類は「完全禁煙」「完全分煙」「時間帯禁煙」の3種類。利用者も、飲食店側も登録できる。
◆福岡市「禁煙協力店・施設」登録事業(市保健予防課 092・711・4269)
◆鹿児島市「たばこの煙のないお店」登録 制度(市健康づくり推進課 099・216・1492)
◆グルメサイト「禁煙スタイル」(http://www.kinen-style.com/)
受動喫煙対策
健康増進法25条は、飲食店など多数が利用する施設の管理者に対し、受動喫煙の防止措置をとるよう定めている。ただし、「必要な措置を講ずるように努めなければならない」という「努力義務」で、「店ごとの自主性に任せるだけでは限界がある」と指摘する専門家も
いる。一方、神奈川県の松沢成文知事は08年4月、「受動喫煙防止条例(仮称)」を独自に制定する方針を発表。今年2月、自治体では
全国初の条例案が県議会に提出される見通し。
【写真】全面禁煙に取り組む「洋食屋Ange」。店内には禁煙を知らせるマークやポスターが掲げられている(北九州市八幡西区で)=
足立浩史撮影【写真】かつては喫煙席もあった店内で話す大和さん(北九州市若松区の「アートカフェレストラン」で)【写真】「福岡市禁煙協力店・施設」のマーク(福岡市・天神の「博多家庭料理 味の正福」で)
(2009年1月26日 読売新聞)
●厚労省、旅館や飲食店の喫煙室設置に助成金
●飲食店やホテルの喫煙室設置費助成/香川労働局
◎ファーストフード店で禁煙強化の動き
◎「名ばかり分煙」改善策は 飲食と完全分離を
●兵庫/ 全面禁煙飲食店ただ今50店
◎受動喫煙対策急ピッチ 外食、店舗を一斉改装 /神奈川
●飲食店やホテルの喫煙室設置費助成/香川労働局
◎ファーストフード店で禁煙強化の動き
◎「名ばかり分煙」改善策は 飲食と完全分離を
●兵庫/ 全面禁煙飲食店ただ今50店
◎受動喫煙対策急ピッチ 外食、店舗を一斉改装 /神奈川
2009年01月29日 Posted bytonton at 17:09 │Comments(0) │飲食店
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